宮崎駿監督・原作・脚本『風の谷のナウシカ』のナウシカを、実存科学の三つの構造──Meta(変えられない前提条件)、シャドウ(抑圧された影)、天命(Metaの必然的収束点)──で読み解く。
すべての生命を敬う少女が父を殺した兵士を殺した瞬間、光と闇が同じ身体から来ていることが露呈する──
全部を通す橋としての天命。
光も闇も通す身体で立つこと──それを赦すことが、天命だ。
NAUSICAÄ — Golden Shadow
ナウシカのMeta ── 自由意志なき世界の天命論
- Meta:異常なまでの共感感受性。蟲の感情を感知し、植物の言葉を理解する。身体そのものが「受容器」として世界を受信する。幼少期の王蟲の子の記憶が原初の傷として刻まれている
- シャドウ:ゴールデンシャドウ・純粋形態──「私の闇は私の光と分離できない」。愛するがゆえに殺し、殺した瞬間に一瞬だけ自由だった。他者のための自己消去が光の鎧として機能する
- 天命:「全部を通す橋であること」──対話できない世界の間に立ち、人間の恐怖と蟲の怒りの両方の衝撃を自分の身体で吸収する。光だけではなく闇をも通すからこそ、橋になれた
テトの恐怖を全身で受け止めたあの手と、トルメキア兵を薙ぎ倒したあの手は、同じ手だ。光と闇は別の場所にあるのではない。同じ身体から来ている。
自分の光を信じるがゆえに、自分の闇を認められずにいる人へ。
ナウシカのMetaを読む →※ 本シリーズで扱う作品:宮崎駿 監督・原作・脚本『風の谷のナウシカ』(トップクラフト制作、東映配給、1984年)。作品の著作権は原著者・制作会社に帰属します。