VIVANT

自由意志なき世界の天命論

VIVANT篇
箭内宏紀|実存科学研究所

ドラマ『VIVANT』のノゴーン・ベキと乃木憂助──父と子を、実存科学の三つの構造──Meta(変えられない前提条件)、シャドウ(抑圧された影)、天命(Metaの必然的収束点)──で読み解く。

1984年のバルカ内乱で引き裂かれた父子。40年の断絶を挟んで、同じ構造が反復された。復讐に駆動された父と、偽装に駆動された息子。二人の天命は、一発の弾丸で交差した。


ノゴーン・ベキのMeta

── 手放した先に、天命があった

  • Meta: 公安諜報員→バルカ内乱→妻の拷問死→国家による存在抹消
  • Shadow: 「守れなかった」罪を復讐で麻痺させ、孤児たちを「代替の憂助」として保護し続けた40年間
  • Destiny: 銃に弾を入れなかった夜──握ることではなく手放すことが天命だった
復讐は目的ではなかった。明美の声を聞き続けるための装置だった。

「やらなければならない」と信じ続けていることが、本当に必要なことなのか分からなくなった人へ

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乃木憂助のMeta

── 隠れていたのは、見つけてもらうためだった

  • Meta: 3歳で両親と離別→記憶喪失→養護施設→別人格「F」の誕生→別班の工作員
  • Shadow: 三重の偽装(商社マン/別班/F)で「本当の自分」を隠し続けた42年間
  • Destiny: 二つの魂で一つの道を歩く──壊れたまま、割れたまま、それでも生きている
隠れていたのは、見つけてもらうためだった。完璧に姿を消していたのは──「それでも見つけてくれる人」がいると、信じたかったから。

「誰にも本当の自分を見せられない」「この仮面を外したら何も残らない」と感じている人へ

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箭内宏紀(やないひろき)
実存科学研究所 代表。
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「Metaがある限り自由意志は存在しない」(M ⇒ ¬F)を第一公理とする実存科学を提唱。


著書に『Metaがある限り──自由意志・自分・他人は存在しない』
『自由意志なき世界の歩き方』ほか。

※ 本稿で扱った作品:福澤克雄原作・演出『VIVANT』(TBS、2023年)脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈 主演:堺雅人。

作品の著作権は原著者・制作会社に帰属します。

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